「第三者評価制度」は、第三者の目から見た評価結果を幅広く利用者や事業者に公表することにより、利用者に対する情報提供を行う制度です。

制度は、社会福祉法の理念にのっとり、「サービスの質の向上」と「利用者主体のサービス選択」を支援する仕組みとして全国的に整備されました。

しかし、その成り立ちは東京都福祉保健財団(東京都福祉サービス評価推進機構)と全国社会福祉協議会が構築した2つのモデルをルーツとしています。さらに、実務の管理は都道府県毎に行っているため、例えば千葉県においては東京都版と全国版の折衷案と言えるような評価モデルを採用しています。

そのため、評価制度のありようは都道府県毎に多少異なったものとなっています。

福祉サービス第三者評価概要(東京都)

◆福祉サービス第三者評価とは

 中立的な第三者である評価機関が、事業者と契約を締結し、サービスの内容、組織のマネジメント力等の評価を行い、その結果を公表する仕組みです。
 利用者のサービスに対する意向等を把握する「利用者調査」と、評価者が事業所を訪問して、サービスの内容、組織のマネジメント力等を把握する「事業評価」とを併せて実施しています。
 ※第三者評価の実施に関する通知

◆福祉サービス第三者評価の目的

第三者評価とは、2つの目的を通じて、利用者本位の福祉の実現を目指しています。
(1)第三者の目から見た評価結果を幅広く利用者や事業者に情報提供することにより、サービスの内容を利用者に見えるものにする
(2)サービスの質の向上に向けた事業者の取組を促す

◆東京都の福祉サービス第三者評価の仕組み

・東京都福祉サービス評価推進機構(公益財団法人東京都福祉保健財団内に設置)が、 認証した評価機関と福祉サービス事業者の契約に基づき、評価を実施
・評価機関が専門的・客観的な立場から評価した結果を「とうきょう福祉ナビゲーション」で公表
 ※詳しくはこちら

◆東京都の第三者評価の特徴

・評価機関は、事業所の職員の自己評価や利用者アンケート調査を行った上で、サービス現場の確認や職員へのヒアリングを通して、サービス内容や組織運営について総合的に分析し、評価を行います。
・評価は福祉サービスごとに異なる項目(共通評価項目)に基づいて行われており、利用者の声を聞く『利用者調査』と、事業者のサービス内容や組織運営を評価する『事業評価』を行います。

●利用者調査
現在の利用者のサービスに対する意向や満足度を把握
共通評価項目は「サービスの提供」、「安心・快適性」、「利用者個人の尊重」、「不満・要望への対応」のカテゴリーに分類されます。

●事業評価
事業所の組織経営や現在提供されているサービスの質を評価するもの共通評価項目は7つのカテゴリーに分類されます。

●カテゴリー 区分
①組織マネジメント項目(全サービス共通)
 1.リーダーシップと意思決定
 2.事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
 3.経営における社会的責任
 4.リスクマネジメント
 5.職員と組織の能力向上
 6.重要課題に対する組織的な活動
②サービス提供のプロセス サービス項目(サービス種別ごとに設定)

◆東京都の第三者評価受審方針

東京都では、福祉サービスの質の向上を目指し、事業者が福祉サービス第三者評価に継続的に取り組むことを推進しており、次の受審方針を定めています。
(1)定期的かつ継続的な受審に努めること
(2)少なくとも3年に1回以上受審すること

◆評価制度の運営

評価機関の認証、評価者の研修、共通評価項目の策定、評価結果の公表等は、東京都福祉サービス評価推進機構で行っています。

◆評価結果等の公表

評価結果等については、ホームページ「とうきょう福祉ナビゲーション」で公表 
<主な掲載内容>
 ● 制度の解説
 ● 評価結果(5年分)
 ● 評価機関・評価者(要件、評価機関・評価者の詳細情報)
 ● 全サービスの共通評価項目、標準調査票、項目解説書等
 ● その他、評価に関する動向など東京都福祉サービス第三者評価とは

東京都福祉サービス第三者評価は、平成15年度に本格実施してから令和3年度 で19年目となる。

令和3年度の評価実施件数は3,694件で、前年度比86件増となり、実施率は前 年度比0.2%増加した。
 実施件数が大きく増加したのは子ども家庭の分野となる。これは認可保育所数の 増加に伴うものである。次いで増加したのは施設系高齢分野となり、これは令和2 年度の新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、受審しなくても特別養護 老人ホーム経営支援補助金を減額しない取扱いにより、令和2年度においては受 審を見送った事業所が令和3年度に受審したことによる増加が考えられる。
一方で居宅系障害分野については、受審件数、実施率ともに減少している。理由 としては、令和2年度が平成30年度から3年に1回の受審が補助要件化された障 害短期入所や共同生活援助の最終年度だったため、駆け込み受審が多く、令和3 年度は3年に1回の初年度という受審サイクルが影響していると考えられる。

1.評価実施件数等の状況

【子ども家庭分野サービスの増減】
出典:東京都福祉サービス評価推進機構年次報告(令和3年度版)

2.評価件数の推移

出典:全国社会福祉協議会「第三者評価事業 全国の受審件数等の状況(資料)」全国の受審件数・実施状況(令和5年度調査 令和4年度実績【暫定版】)の都道府県別件数を引用
【全国値との比較】

出典:全国社会福祉協議会「第三者評価事業 全国の受審件数等の状況(資料)」全国の受審件数・実施状況(令和5年度調査 令和4年度実績【暫定版】)の都道府県別件数を引用

福祉サービス第三者評価の流れ(東京都)

受審に係る補助金の制度について(東京都)

(1)東京都における福祉サービス第三者評価の受審に関する補助制度について(令和5年度)(PDF:139KB)

   令和4年度の東京都における福祉サービス第三者評価の受審に関する補助制度の概要をまとめたものです。

(2)令和5年度福祉サービス第三者評価事業予算化状況(区市町村別)(PDF:516KB)

   区市町村が主体となって実施する領域について、区市町村別の予算化状況を示したものです。
   詳細は、それぞれの区市町村にお尋ねください。

(3)令和4年度福祉サービス第三者評価事業実施状況(区市町村別)(PDF:823KB)

   区市町村が主体となって実施する領域について、令和3年度の区市町村の補助実績の有無を示したものです。

『改善取組事例集』について(東京都)

東京都福祉サービス評価推進機構において、実際に評価を受審した事業所で評価結果等から気づきを得られ、サービスの改善に結びつけることができた事例を紹介した「改善取組事例集」を作成しました。
 第三者評価をどう活用すれば良いのか、また評価受審のメリットがよく分かりますのでぜひご覧ください!
 ⇒ 『改善取組事例集』を見る

第三者評価事業について

 国は福祉サービスの質の向上を支援するため、福祉サービス第三者評価事業の普及促進等について指針を定めています。
 
 厚生労働省通知 一部改正 平成30年3月26日
 「福祉サービス第三者評価事業に関する指針について」の全部改正について」の一部改正について(PDFファイル)

推進体制

「福祉サービス第三者評価事業に関する指針」(平成16年5月7日)に基づいて国・都道府県において次のような推進体制が整備されることになりました。

業務について

全社協は、福祉サービス第三者評価事業の推進及び都道府県における福祉サービス第三者評価事業の推進組織(以下「都道府県推進組織」という。)に対する支援を行う観点から、以下の業務を行うこと。

①「都道府県推進組織に関するガイドライン」の策定・更新に関すること
②「福祉サービス第三者評価機関認証ガイドライン」の策定・更新に関すること
③「福祉サービス第三者評価基準ガイドライン」の策定・更新に関すること
④「福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドライン」の策定・更新に関すること
⑤「評価調査者養成研修等モデルカリキュラム」の作成・更新その他評価調査者養成研修に関すること
⑥福祉サービス第三者評価事業の普及・啓発に関すること
⑦その他福祉サービス第三者評価事業の推進に関すること

組織について

業務を実施するに当たり、以下の団体が各々全社協に設置されること。

①福祉サービス第三者評価事業の公正・中立性及び専門性を確保する観点から学識経験者等で構成される福祉サービスの質の向上推進委員会
②福祉サービス第三者評価基準及び福祉サービス第三者評価機関認証要件等に関する情報交換その他福祉サービス第三者評価事業に関する普及・啓発のた めの協議を行うため、都道府県推進組織及び福祉サービス第三者評価機関を 構成員とする評価事業普及協議会

福祉サービスの質の向上推進委員会運営要領(PDFファイル)

都道府県の役割

都道府県は、都道府県の判断の下、「都道府県推進組織に関するガイドライン」に基づき、都道府県推進組織を設置すること。

都道府県推進組織は、各都道府県に一つに限り設置され、第三者評価機関の認証をはじめ、第三者評価基準や第三者評価の手法に関すること、第三者評価結果の取扱いに関することなどを行います。

都道府県推進組織に関するガイドライン(PDFファイル)

都道府県推進組織一覧
各推進組織の運営状況

出典:全国社会福祉協議会HPより引用

福祉サービス第三者評価の目的とプロセス

福祉施設・事業所でのよりよい福祉サービスの実現に向けて、公正・中立な第三者評価機関が専門的・客観的立場から福祉サービスについて評価を行う仕組みです。
 
●福祉サービスの質の向上を図ることを目的としています。
●評価結果を公表することで、福祉サービスの利用を希望される方や、家族が福祉サービスを選択するための情報源の一つとなります。

★自己評価に取り組む意義
●組織運営やサービスの質を見直すことによって新たな気づきが得られます。
●福祉施設・事業所全体でサービスの質の向上に取り組むきっかけを得られます。

自己評価は、職員個人の取り組みを基礎としながら、チームや福祉施設・事業所全体での議論を経て、課題等が共有されることが重要です。
第三者評価の目的は、福祉施設・事業所の福祉サービスの質を向上させることですが、第三者評価で更なる質の向上の取り組み・改善策等を見出し、実際の取り組みにつなげていくことが重要です。
共有された課題、さらに第三者評価で得られた課題に、組織的に取り組む基礎となるものが自己評価だといえます。

 

★★評価結果を公表する意義
●福祉施設・事業所が行う福祉サービスの質の向上のための取り組みが明らかになります。

評価結果を広く社会に発信することで、事業運営の透明性が図られ、福祉施設・事業所の理念・基本方針やサービスや支援の内容・特徴をアピールすることができます。
福祉施設・事業所が第三者評価の受審を通して、福祉サービスの質の向上・改善に取り組んでいることを、利用者や家族、地域住民等に発信し、理解を広げることが重要です。
その際には、ホームページや機関誌に掲載することで、取り組みへの理解が一層深まります。
さらに、福祉施設・事業所で仕事をしたいという人にとって、有意義な情報となります。