新年のご挨拶2026【裏ver②】
初夢の続き
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第4章 見えない敵の輪郭

保育は子どもの生活を守る場所であり、同時に家庭の事情・就労・困窮・孤立・発達・虐待予防・災害対応といった社会の揺れを最初に受け止める前線でもある。
保育職員は今日を回しながら、明日の不確実性にも耐え続ける。
「見えない敵」とは、現場の努力不足ではない。支援が制度の境界で途切れること、正しさが積み上がるほど現場の呼吸が浅くなること、連携が必要なほど全体の地図が読めなくなること、その構造そのものが敵なのだと。
第5章 特務機関F・F

表向きの名称は株式会社ふくし・ファームである。
だが内側の任務は、『福祉補完計画』を現実へ引き寄せることにあった。評価は終点ではなく起点である。
現場で起きている事実を、誰もが共有できる言葉へ変換し、改善が回る形に整える。
園が努力で埋めている部分と、努力では埋められない部分を分け、責める線ではなく補う線として描き直す。
そのために必要なのは、現場の実践を社会の資産に変える技術であった。
こうしてF・Fは、司令室というより編集室のように、静かに動き始めたのである。
当初のメンバーは少数であった。代表が前線に立ち、現場へ入り、記録を取り、報告書に落とし込む。
そこで見えてきたのは、園ごとの努力の差ではなく、努力が報われにくい共通の構造である。
制度の表現が現場の言葉にならない瞬間。関係機関が同じ状況を見ているのに、別の地図で話してしまう瞬間。良い実践があるのに、共有の仕組みがなく個人の腕に埋もれる瞬間。
そうした断絶を、評価という形式でつなぎ直せないか。これが設立の原点である。
やがて時代は加速する。案件は増え、相談は複雑になる。
ふくし・ファームは2025年度に契約件数150件へ到達し、手応えと同時に限界も露わになった。
ここでF・Fは、チームを組織として整えるフェーズへ入ったのである。
現在の体制は、社長に加えて正規職員2名・派遣職員2名・業務委託3名である。少数だが役割は明確である。
正規職員は案件を回すだけの人員ではない。スタッフ管理と新規事業の立ち上げまで含め、現場の事実を組織の知恵へ変換する中核として動く。派遣職員は主にライティングを担い、記録の精度と読みやすさの両立を支える。
業務委託は必要な専門性を機動的に呼び込み、評価の言語化と改善の筋道を太くする。映像ディレクターが加わったのも計画の一部である。現場の価値を伝える手段は紙だけでは足りない。短い時間で伝わる形へ翻訳する力は、社会と接続するための装備となる。ルポライターの参加は、事実の温度と因果を文章に残すための推進力である。保育園長経験者が内部にいることは、机上の正しさが現場の負担になっていないかを常に点検する防波堤となる
第6章 静かな戦果
F・Fの活躍は、目立つ勝利として語りにくい。だが確かに積み上がる。
園にある小さな工夫を、評価という形式で社会の言語へ変える。慣れ保育の調整が家庭の負担をどう減らしたかを、美談ではなく再現可能な手順として残す。安全対策が書類上の整備で終わらず、職員の共有言語になっているかを確かめ、見直しの循環を作る。研修が実施した事実で終わらず、現場の動きへどう反映されたかを追い、次年度の焦点を言語化する。地域連携が義務のチェックに堕ちないよう、園が実際に使える地域資源の地図として整える。これらはすべて、支援が途切れる境界を減らす作業である。
もう1つ、F・Fが向き合うのは現場の疲弊そのものだ。
良い保育をしたいという思いが強いほど、人は頑張ってしまう。頑張れる人ほど燃え尽きやすいという矛盾がある。ここで評価機関にできるのは、報告書を現場の負担増に使わないことである。
現場の実践を否定せず、改善(より良くしたいと思う点)の優先順位を整理し、実行できる形に分解することである。改善は追加ではなく置き換えであると示し、1つ増やすなら1つ手放すという発想が自己否定にならぬよう、道筋として整えることである。

終章 束の間の平和、そして明日への戦い
F・Fは、派手な正義の組織ではない。「見えない敵」に対峙するとは、誰かを倒すことではなく、断絶を縫い合わせることである。評価の言葉を、現場を追い詰める刃ではなく、支援が届くための橋にすることである。
そのために少数のチームが専門性を持ち寄り、今日も地図を描き直している。
目に見える成果より先に、目に見えない断絶が少し減る。
その静かな変化こそが、F・Fの仕事であり、活躍なのである。